記事のポイント
- ネスレ日本や日清紡Gなど14社・団体が一般社団法人アップサイクルを設立
- 企業や行政、生活者を巻き込んで、行動変容を促すのが狙いだ
- 廃棄される紙資源や間伐材を紙糸にして、衣類にアップサイクルする
ネスレ日本や、日清紡グループのニッシントーア・岩尾など14社・団体は3月2日、リサイクル向上を推進する企業連携プラットフォームとして、一般社団法人アップサイクル(大阪市)を設立したと発表した。多様な企業や行政、生活者を巻き込んで、行動変容を促すのが狙いだ。第一弾プロジェクト「TSUMUGI(ツムギ)」では、廃棄される紙資源や間伐材を紙糸にして、衣類にアップサイクルする。(オルタナ副編集長=吉田広子)
「TSUMUGI(ツムギ)」プロジェクトでは、工場で製造時に規格外として廃棄対象になる紙資源や間伐材、廃棄された紙製容器包装を原材料にして「紙糸」を製作する。できた紙糸は、Tシャツなどの最終製品に仕上げる。染色には、コーヒーかすを利用する。
ネスレ日本は「ネスカフェ」や「キットカット」などの製品パッケージやコーヒー残渣を提供するほか、ニッシントーア・岩尾は繊維事業の技術や知見、凸版印刷は紙資源や加工技術を供給する。シーエヌシーは運営店舗で出たコーヒー残渣を提供したり、アップサイクル製品を販売したりする。
もともとネスレ日本は2022年2月から、日清紡グループの協力のもと、紙の詰め替え容器や牛乳パックなどを回収し、紙糸にアップサイクルする取り組みを進めていた。その紙糸で衣類を製作し、ネスレ日本直営のカフェのユニフォームにしたり、神戸市の児童養護施設に寄贈してきたりした。
しかし、取り組みを進める上で、回収やリサイクルの難しさにも直面した。そこで、より多くの企業や行政、生活者の協力を得ようと、プラットフォームとして社団法人を立ち上げることになった。
アップサイクルの理事を務める嘉納未來・ネスレ日本執行役員コーポレートアフェアーズ統括部長は、「サーキュラーエコノミー(循環経済)を構築するには、生活者の協力が欠かせない。メーカーとしては、接点も限られている。『アップサイクル』を通じて、活動を広げていきたい」と話す。
アップサイクルは、新たな資源や技術の提供、製品開発、コラボレーションに関心のある企業・団体の参加を随時受け付けているという。第一弾は、紙資源や間伐材のアップサイクルだが、今後はほかの素材も取り扱っていく予定だ。
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