2022/12/13 05:00
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やっている主な目標
9 産業と技術革新の基盤をつくろう
11 住み続けられるまちづくりを
12 つくる責任つかう責任
17 パートナーシップで目標を達成しよう
コーヒーかす 新素材
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カフェオレベースで出来た製品を確認する村上所長(左)と藤田共同代表(名古屋市西区で)
「上回転研究所」は、廃棄物やごみの価値を商品へと引き上げる「アップサイクル」の開発拠点だ。コーヒーかすと牛乳を使った「カフェオレベース」、建築材の廃棄 石膏(せっこう) ボードを活用した「resecco(リセッコ)」といった新素材を世に送り出している。
出発点は朝の1杯
上回転研究所の村上所長
研究所の所長で、素材デザイナーの村上結輝さん(24)は、学生時代に新型コロナウイルスが流行する中、ものが大量生産、大量消費され、多くのごみが出る社会に疑問を持ち、卒業制作でバナナの皮からレザー素材を作り、素材デザイナーとして歩み始めた。
2021年夏、村上さんは毎朝ドリップコーヒーを飲むうち、「粉はお湯を注いだ瞬間からかすとしてごみになってしまう」と考え、再利用方法を模索。試行錯誤でコーヒーかすを固める原料として牛乳にたどり着き、カフェオレベースが生まれた。ランプシェードなどに成形した製品はSNSを通じて国内だけでなく、ベトナムから注文が来るなど幅広く引き合いがある。
想(おも) いが一致設立へ
移転したばかりの作業場で、カフェオレベースの原料を作る村上所長(名古屋市西区で)
空き家の利活用や地域課題の解決などを手がける会社「On―Co(オンコ)」の共同代表、藤田恭兵さん(30)は「もともとごみの利活用に興味があり、ため込んでいた」と笑う。昨年秋、カフェオレベースの開発製造拠点を探していた村上さんがオンコに相談したことで2人は出会った。藤田さんは「村上君の想いと僕の想いが一致した」として、ごみ問題に向き合う「上回転研究所」の設立につながった。
今年5月、マンションの一室で活動を本格化した。名古屋市内でカフェオレベースの製品や作品を展示し、11月に鹿児島県の沖永良部島で子どもたちを集めリセッコでタイルを作る講座を開いた。村上さんは「離島ではごみを島外に運んで処理するのでコストがかかる。子どもたちに再利用の可能性を知ってもらいたかった」と語る。
ごみ箱のない社会 企業などからの相談が増えて手狭になったため、12月から名古屋市西区のビルの1、2階を借りた。1階は新素材の製品や作品を展示し、地域住民が持ち寄るごみを分別する場所も作る。地域と交流しながら再利用について啓発活動を行うという。2階はクリエイター向けの共同作業場などとして開放する予定だ。
さらに広くアップサイクルについて考える「上回転大学」を開設し、みんなで再利用の可能性を探っている。今夏、ロンドンから来た学生1人が約3週間滞在し、廃棄されるパンを使って紙を作ったという。藤田さんは「多くの人が集まることで新しいアイデアが生まれ、研究所の活動もより幅が広がる」と期待している。村上さんは「みんなの知恵を持ち寄りごみの減量化を進めて、将来はごみ箱がない社会にしたい」と意欲を燃やしていた。
(浜島拓也)
メモ オンコが2022年5月に設立し、運営。廃棄物を使った新素材開発のほか、アップサイクル普及のため、イベントや講座を開いている。現在、新拠点整備のため、クラウドファンディングサイト「campfire(キャンプファイヤー)」で寄付を募っている。
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