EUが10億円超を投じた「COCO-AI」プロジェクトが始動、AIを活用して培養カカオの生産を目指す – Framtiden

カカオの実
©Plant Cell Institute

欧州連合(EU)が、人工知能(AI)を活用した植物細胞培養プラットフォームにより持続可能なカカオを生産することを目指す「COCO-AI」プロジェクトに対して、630万ユーロ(約11億7,000万円)の投資を行いました。

カカオ産業の将来を見据えて立ち上げられた「COCO-AI」は、EUの研究・イノベーション支援プログラム「Horizon Europe」の一環として始まりました。

AIと植物細胞培養という2つの技術を組み合わせ、バイオリアクターを用いてカカオをはじめとする高付加価値原料を生産するための新たなプラットフォームを開発する目的です。

ドイツのフラウンホーファー分子生物学・応用生態学研究所(Fraunhofer IME)が主導するこのプロジェクトには、欧州、イスラエル、カナダ、韓国から9つのパートナーが参加。

その中には、カーギルと共同で培養カカオのソリューション開発を進めるKokomodo、モンデリーズ・インターナショナルと提携するCelleste Bioというスタートアップ企業2社も含まれています。

KokomodoでCTO(最高技術責任者)を務めるDario Breitelは、「カカオは気候変動リスク、地政学的な不安定さ、そして世界的な需要の急増という課題が交差する場所に位置している」と指摘。

「当社のプラットフォームは、熱帯地域に依存するサプライチェーンから切り離された形で、安定した高品質のカカオ原料を生産するものだ。従来の生産体制が大きな圧力にさらされる中、メーカーや政策立案者が食料安全保障と安定供給を強化できるよう支援したい」と述べました。

植物細胞培養では、カカオ豆から細胞を単離し、栄養豊富な液体培地で満たしたバイオリアクター内で増殖させます。

このプロセスでは、植物の栽培を行わずに、カカオの実の中で生成されるものと同じ天然成分を作り出すことが可能。細胞が目標とする密度に達したらバイオマスを回収して、ココアパウダーやココアバターなどの製品に加工します。

培養においては、栄養分や温度、タイミング、光、そして細胞自身の生物学的特性といった多くの要素を適切に組み合わせる必要があるため、「COCO-AI」では分析にAIを活用。パターンの特定や、生育条件が細胞の性能に与える影響の理解、そして有望な実験の優先順位付けをスムーズに行えるよう支援する役割を果たします。

4年間にわたる本プロジェクトでは、実験室レベルでのカカオ細胞の培養に加え、50リットル規模のパイロットシステムから1万リットル規模の産業用バイオリアクターへとスケールアップを図ります。

この取り組みはCentre for Process Innovation(CPI)が主導し、生産コストの分析や技術経済性分析(TEA)を行うほか、ライフサイクルアセスメント(LCA)や規制対応計画の策定も支援する予定です。

全体としては、カカオやブドウ、オーツ麦などの植物種を用いて培養技術を検証し、6種類の新しい成分配合と2種類のチョコレートバーの試作品を開発する目標が設定されました。

さらに、小規模企業や他業界の企業がその成果を基に発展を図れるよう、オープンソースのAIツール、検証済みの手法、そして公開データセットの開発も行います。

参考記事:
Press release 15.07.2026 – Fraunhofer IME
COCO-AI Project Aims to Transform Sustainable Ingredient Supply | CPI
Making Cocoa Without the Tree | Aberland
EU Pumps $6.3M Into Project Using AI to Grow Cell-Based Cocoa

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