中国発業務用コーヒーマシン「CAYE」が資金調達、海外勢に劣らぬ品質で市場開拓

業務用全自動コーヒーマシンを提供する中国スタートアップ企業「CAYE(咖爺科技)」がこの頃、1億元(約20億円)近い資金を調達した。生活サービス大手・美団(Meituan)傘下の美団龍珠が出資を主導し、既存株主の高瓴創投(GL Ventures)なども参加した。今回の資金は、グローバル市場の開拓と新製品の研究開発に充てられる予定だ。

CAYEは、新鋭ロボット掃除機メーカー「追覓科技(Dreame Technology)」の共同創業者・呉鵬氏が2022年12月に設立した。23年3月のエンジェルラウンドを皮切りに、わずか2年足らずで4回の資金調達を成功させており、急成長を遂げている。

同社は、豆のグラインド、粉の計量、充填、コーヒーの抽出などの工程を刷新した自社開発の「Bionic Barista」システムをベースに、今年新たに業務用全自動コーヒーマシン「Smart X」シリーズをリリースした。すでに量産を開始しており、一括導入している有名コーヒーチェーンもあるという。

これまで業務用全自動コーヒーマシン市場は、スイスのSchaererやFranke、Thermoplan、ドイツのWMFといった海外メーカーが支配していたが、CAYEはその牙城に挑んでいる。

顧客がCAYEを選ぶ理由として呉氏は、抽出効率を備えたうえでのコーヒーのクオリティが決め手と指摘する。CAYEのマシンは、粉と水の割合や濃度を示すTDS(Total Dissolved Solids)値が顧客の求める基準にぴったりで、ブラインドテストでも競合他社を上回る結果を示しているという。

Smart Xシリーズは、高精度計量システムや粉を平らにならす垂直振動、ミルクフォーミングの技術、クローズドループ制御システムなど自社で開発したコア技術を使い、効率と品質を大幅に向上させた。業界の展示会では、唯一CAYEがマシンを分解してコア部品やモジュールを公開しており、自信のほどがうかがえる。

しかしコーヒーマシンを選ぶ際、技術は検討要素の一つでしかない。海外の老舗メーカーの商品は長い時間をかけて信頼を勝ち得ており、ブランド力という点でも中国メーカーを大きくリードしている。CAYEは海外ブランドとの差を少しでも縮めるために、江蘇省の蘇州産業パークにカフェをオープンし、実際の店舗を模して毎日午前9時から10時まで各種のコーヒーを100杯提供するというかなり厳しい検証を実施した。

CAYEのマシンの部品

中国のコーヒー業界では低価格競争が続き、チェーン店は淘汰されつつあるが、全自動マシンはまだ伸びしろの大きい領域だと同社が見ている。

最近ではコーヒーとティードリンクのマーケットの境目が徐々に曖昧になりつつある。HEYTEA(喜茶)や蜜雪冰城(MIXUE)、茶百道(ChaPanda)など大手ティードリンク企業がコーヒーを販売したり、コーヒーを扱うサブブランドを立ち上げたりしている。そしてHEYTEAや蜜雪冰城などに出資した投資機関が、CAYEへの投資に参加していることも注目に値する。この動きには、コーヒー業界における川上から川下までの統合を目指す意図がある可能性が示唆される。

CAYEは中国だけでなく世界市場にも積極的に展開している。すでにマレーシア、インドネシア、オーストラリア、英国など9カ国で現地のコーヒーチェーンと提携、さらに現地のサプライヤーを通じて50以上の国や地域に対して製品を提供しているという。

同社の自社工場は年間1万台の生産能力を持ち、協力工場を合わせると年間10万台以上の生産が可能だ。将来的には、業務用市場に加え、家庭向けの新たなシリーズの開発にも着手する計画だ。

*1元=約21円で計算しています。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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