2023年1月24日 09:59
コーヒーの豆かすを使った米作りに取り組む伊藤敏幸さん=大垣市船町、喫茶はるにれ
コーヒーの豆かすを肥料に使った米作りに、25年近く取り組んでいる人がいる。岐阜県養老町押越の兼業農家伊藤敏幸さん(61)だ。近年、関心が高まっている循環型農業を長く追求している。「土や地球に優しい米作りを持続していきたい。農家が担う責任」と話す。
伊藤さんが始めたきっかけは、大垣市船町にある行きつけの「喫茶はるにれ」でのマスターらとのやりとり。コーヒーを入れた際に出るかすが全部廃棄物となっていることを知った。「土壌改良に使えないか」。譲り受けて、肥料にすることを思いついた。
豆かすについて「いっているので、炭に近い。保水性があり、水を通す」と伊藤さん。「化成肥料だと土がやせる。有機質を入れると、土が軟らかくなり、根も張りやすくなる」。ふるいにかけて豆だけを取り出して、11月から3月にかけて、田んぼにまいている。
「人間に例えると、生活しやすい環境づくり」と表現する。「気候変動がかなり激しくなっている。対応する田んぼづくりや稲の育て方が求められている。継続して有機物を肥料として使っていかないといけない」
生産しているのは、ハツシモやコシヒカリ、ミルキークイーン。妻と2人で行っており、大量生産はできない。「顔が見える」と、同店を通じて販売している。
長く続けている中で、大切にしてきたのは、人とのつながりだ。「喫茶店との縁があっての豆かす。自分にしかできない思いがある。自分を取り巻く環境に重きを置いていきたい」と笑顔を見せた。問い合わせは、同店、電話0584(73)8701。
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