「フルーティーで飲みやすい」世界から認められた希少な国産コーヒーを島の名物に【沖縄県久米島町】

沖縄県は2023年度、たくさんの「お宝=魅力」をもつ離島各所の事業者さんたちが、SNSなどの『デジタルツール』を利用してさらに魅力的な発信をしていけるように「沖縄県主催🌺価値を伝えて売りまくるためのデジバズ講座」という取り組みを行っています。
この記事は、参加された事業者さんを対象に、「ローカリティ!」のレポーターがその輝く魅力を取材し執筆したものです。沖縄離島の魅力をご堪能ください。

久米島コーヒー生産組合のみなさん(安里さんは前列左、安村さんは前列中央)

私たちが普段楽しむコーヒーの豆は99%が外国産ですが、沖縄県では亜熱帯気候に属する特徴を生かした国産のコーヒー豆栽培が行われています。そんな沖縄県久米島のコーヒー豆ブランド確立を目的に、2021年10月に農事組合法人「久米島コーヒー生産組合」が発足しました。久米島産の希少な国産コーヒーづくりについての思いを、組合の理事である安里順(あさと・じゅん)さんに伺いました。

組合には現在6名の生産者農家が参加していますが、きっかけとなったのは代表理事である安村翔太(やすむら・しょうた)さんの存在が大きかったとのことです。

もともと2013年頃に安村さんがホームセンターからコーヒーの苗木(ムンドノーボ種)を購入して植えたのが始まりで、種を取り苗木の数を5〜6年で1500本以上に増やしていきました。

コーヒーが大好きで2018年頃から自分の畑の傍らに5〜6本ほど苗木を植えてた安里さんは、安村さんの噂を聞いて会いに行き、苗の提供を受けてコーヒー栽培を広げていきました。

発足時5名だった組合員のコーヒー生産者農家は、安里さんと同様に安村さんから苗の提供を受けてコーヒー豆栽培をスタートさせ、現在では合わせて7000坪の農地面積に約4000本のコーヒーの木を栽培しています。

「スペシャルティコーヒー」の認証を受けた安村さんの「しらせコーヒー園」で作られた、しらせコーヒー。

「久米島はコーヒーで有名なハワイと同様に赤土の土壌だというのを聞いたことがあり、成長は遅いけどスクスクと育つのでいけるんじゃないかと思いました」と、安里さんは自分の畑でのコーヒー栽培のきっかけを話します。

海外のコーヒーベルトは高い山で栽培されているため温暖差で豆に糖度が加わりますが、久米島のコーヒー畑は標高100m程度。久米島コーヒーは、そんな地形的に不利な条件も、コーヒーの実から種子を取り出し発酵を行うなどの精製技術で味を高めているとともに、無農薬栽培や、赤く熟した豆を厳選して手摘みで収穫するなど手間も惜しみません。

その結果、「フルーティーで飲みやすい」と評判を呼び、2022年にコーヒー品質協会が世界流通量の5%しか存在しない高品質な豆に与える「スペシャルティコーヒー」の認証も受けました。「栽培から焙煎加工まで組合ですべて取り組んでいるのは、ほかの組織にはないと思います。それが世界からも認められてうれしいです」と、安里さん。

毎年9月〜10月ごろにはコーヒー豆の収穫時期に入り、忙しい日々を過ごす安里さんは、出荷できない豆を自家消費してコーヒーを楽しんでいるといいます。

筆者の「一番好きなコーヒーはなんですか?」という問いに、「コーヒーもいろいろ飲みますが、やはり自分の豆が一番おいしいですね」と、笑顔で応えてくれました。

一面に広がるコーヒー畑赤く熟したコーヒー豆

「久米島には、泡盛、イモ、クルマエビ、紬などの特産品がありますが、コーヒーは若い人からも注目度が高く、新しい特産品として育てていきたいです」と、安里さん。コーヒー豆の収穫や焙煎を盛り込んだ体験型観光も行い、サトウキビ、イモ、クルマエビ以外の新たな産業として期待を寄せています。

「今後は組合員も増やして、コーヒーの木もどんどん増やしていきたい」という安里さんですが、「台風が来れば畑は壊滅してしまい、収穫まで4〜5年かかることを考えると、新規農家の参入もなかなか難しいのではと考えています」とも。

しかし安里さんは「まずは自分たち組合員が実績を作って、久米島コーヒーの認知を上げればコーヒー豆の栽培をやりたいという後継者も出てくると思います」と、決意を述べてくれました。

#久米島コーヒー

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