東京都杉並区高円寺にある『締切に追われているあなたのためのカフェ』がコンセプトの「原稿執筆カフェ」。入店できるのは、原稿執筆を目的とした人だけだ。
「お茶だけさせて」という人の入店はお断りしているという。
目標を達成しないと退店できない
同店では、入店時にまず何文字の原稿を何時までに執筆するかの「作業目標」を指定のカードに記入することになっている。その目標を達成しないと退店できない決まりだ。
利用者は全員原稿執筆をしている人なので、緊張感があり、作業に集中できるだろう。店内ではBGMも流れておらず、会話はできない。
原稿執筆の内容は、書籍、雑誌、論文、脚本、同人誌、譜面、スコアの執筆、翻訳作業、漫画作画、イラスト作成、コピーライティング、企画書作成、ネーム入れ、編集作業、校正作業、レイアウト作業、写真加工、画像加工、動画編集など創作活動全般を含む。
店長の川井さんが原稿執筆の進捗を尋ねてくるというのもポイント。進捗チェックには、「マイルド」「ノーマル」「ハード」がある。「マイルド」は精算時に確認、「ノーマル」は1時間に1回程度の声かけがあり、「ハード」は1時間ごとの声かけ以外にも、川井さんが頻繁に背後に立ち、無言で進捗を促してくれる。
営業時間内に原稿が終わらない場合、退店(精算)できないシステムになっている。閉店時間以降は急激な割増料金となるので注意が必要だ。
多くの人たちが作業目標を達成してきた
原稿執筆しやすい環境を用意
店内は、原稿執筆がしやすい環境が整っている。座席はすべて外向きにレイアウトされており、他の利用者が視界に入ってくることはない。カウンターは、パーテーションによりパーソナルスペースが確保されている。
また、高速Wi-Fi(2.4GHz+5GHz)の利用はもちろん、全席に電源コンセント&USB高速充電ポートが用意されている。
テーブル席は、ひとりで専有できるので資料をたくさん広げる校正作業などにおすすめ
スマホスタンド、ノートパソコン&タブレット用スタンドや、
PC冷却スタンドもある。
長時間座っていても疲れにくい、高反発ジェルクッションも設置されている。
セルフサービスのコーヒーや紅茶は飲み放題。また、飲食物の持ち込みは自由。近くにコンビニエンスストアなどもあるので、好きなドリンクやフードを買ってくることも可能だ。
さらに、辞書やケーブル等の貸し出しもあり、原稿執筆をするには完ぺきと言っても過言ではない環境だ。
「原稿執筆カフェ」をオープンした理由
「原稿執筆カフェ」をオープンした理由について、店長の川井さんに話を聞いた。
「原稿執筆カフェ」は、もともとバーや撮影スタジオなど、人が集まってコミュニケーションをとる場所だったという。しかし、コロナ禍で人が集まることが難しくなってしまった。
コロナ禍では、リモートワークが推奨されるなど家で仕事をする人が増えた。そして、これまでリラックスしていた家に仕事を持ち込むことで、家が“会社化”してしまうという家庭も多くなってきた。そこで、家で仕事をしたくない人たちが向かう場所といえばカフェだが、なんとなくダラっとしてしまう…という人も。
そういったことから、「周りがみんな原稿執筆をしていてピリッとしている空間」をつくろうと考えたのが「原稿執筆カフェ」のはじまりだったそうだ。
「飲食店だと追加オーダーしなきゃいけないとか、そろそろ出ないきゃいけないとか、そういうことを一切排除した、モノを作る人が集中して作業ができる場所をつくりたかった」と川井さんは語る。
利用しやすい価格設定
「原稿執筆カフェ」の利用料金は、カウンター(8席)30分240円(税込)/1時間480円(税込)、テーブル(1席)30分360円(税込)/1時間720円(税込)と、利用しやすい価格設定となっている。ただし、閉店時間を過ぎても原稿が終わっていない場合の延長料金は、1時間4,800円(税込)となるので気を付けよう。
「このカフェで皆さんが書いたものが作品としてどんどん世の中に出ていって令和のトキワ荘みたいな場所になれたらいいな!と思ってます」と川井さんは言う。
誰もが驚くトイレにも注目
そして、このカフェのもう一つの特徴はトイレだ。トイレに入ってから、撮影のためスマートフォンを手にもう一度トイレに入る利用者も多いそうだ。
そのトイレはこちら。
このトイレは、東京・大手町にある、ウォークマンやiPodなどのケータイ音楽プレーヤー、ラジオ、カセットテープ、ケータイ電話、PHS、キーボード付きモバイル端末などを収集展示している「絶滅メディア博物館」の分館だという。
原稿執筆の合間に、トイレで懐かしいメディアを発見して、ほっとひと息できそうだ。
営業日や予約については必ず公式サイトで確認しよう
なお、「原稿執筆カフェ」はライブ配信&撮影スタジオである「高円寺三角地帯」の閑散時間帯を活用しているため、営業日は土日中心で不定だ。「高円寺三角地帯」は、喫茶店・カフェ・スナック・バー・料理教室・語学教室など様々な業態に対応しており、2時間からスペースを借りることができる。
「原稿執筆カフェ」の営業日や予約などの詳細に関しては公式サイトにて確認を。
原稿執筆の締切に追われている人は、「原稿執筆カフェ」で目標達成に向けて頑張ってみては。
■原稿執筆カフェ
住所:東京都杉並区高円寺北2-1-24 村田ビル1階
URL:https://koenji-sankakuchitai.blog.jp/ManuscriptWritingCafe/
Googleマップ:
■絶滅メディア博物館
URL:https://extinct-media-museum.blog.jp
(白井恵理子)