家庭用の売り上げが5倍に! カプセル式コーヒーマシン「キューリグ」の強みと弱み:約4年ぶりに新作(4/4 ページ)

前のページへ|      

 キューリグの家庭用マシンの市場拡大には、サブスクリプションの導入も大きく影響している。以前はテレビ通販に注力していたが、19年頃に自社のECサイトでの展開を強化、サブスクサービスを開始した。

kk_keurig_08.jpg
サブスクサービスは、40種類以上のカプセルから好みの5箱を選べる(キューリグの公式Webサイトより)

 サブスクは「マシン付き」と「マシンなし」の2種類がある。マシン付きの場合は、好みのマシン1台、12種類のカプセルが入ったアソートボックス1箱(初回のみ)、好みのカプセル5箱(1箱12個入)で6800円~となる。12回以上の継続を条件とし、13回目以降はマシン利用料がかからず6480円となる。

 利用者のボリュームゾーンは、30~40代の家族と暮らす人だという。利用者の8割以上がサブスクに加入しており、マシン付きのコースが圧倒的に人気が高い。マシンを単体で購入して利用するより、かなり割安になるためだ。

 以前は、お任せで5箱を届ける設計にしていたが、21年から顧客が選べるように変更したところ、サブスクの継続率が伸びた。1年後の継続率は約8割と高く、毎回ブランドやカプセルの種類を変える利用者も多いという。

kk_keurig_09.jpg
他社との差別化は明確だが、メーカーの知名度の低さはキューリグの課題(カップス社提供)

 キューリグは数年間で家庭用マシンの売り上げを拡大してきたが、ネスレなどの競合と比較すると知名度が圧倒的に低い。同社が実施したさまざまな調査で、キューリグの知名度は10%を下回っている。しかし、同社を認知している人に対して「キューリグのコーヒーマシンを購入したいか」と問うと、「購入したい」と答える人が他メーカーよりも多いという。

 「他社よりも多くのブランドのコーヒーを扱っていることを知って、体験してもらえれば、購入につなげられる自信があります。そのため『自社EC』に加えて、体験や認知を促す『家電量販店』『ポップアップストア』の販売チャネルにも注力しています」

 同社は、家電量販店やショッピングモールでのポップアップストアを精力的に開催している。インフルエンサーマーケティングなども活用しながら、デジタルとリアルの融合で認知拡大、売り上げアップを目指す。

 キューリグは、米国の成功ストーリーを日本でも展開できるのか。一番の強敵ネスレの動きもまた気になるところだ。

前のページへ|      

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

タイトルとURLをコピーしました