このままのペースで温暖化が進むと、2050年にはアラビカ種のコーヒー産地が半減し、現在のような形でコーヒーを楽しむことは難しくなると言われている。
この「コーヒーの2050年問題」などからも分かるように、コーヒーと環境問題は大きくつながっている。
この先数十年経っても毎日おいしいコーヒーを楽しめるようにと、以前から気になっていたあるアイテムを使いはじめてみた。
コーヒー屋が作るリネンフィルター
IFNi ROASTING & CO. 「CLOTH FILTER 3枚入り」 税込1760円
撮影:シラクマ
「CLOTH FILTER」は、IFNi ROASTING & CO.というコーヒーロースターが作る、オリジナルの布製コーヒーフィルター。消耗品が出ず繰り返し洗って使うことのできる、環境にやさしいアイテムだ。
フィルターのサイズは1〜4杯用の大きいサイズのみだが、布でできているのでドリッパーのサイズに合わせて折り曲げて調整できる。
また、フチのカラーバリエーションが全3種類あるほか、台形用のモデルなどもあり、手持ちのドリッパーに合わせて好みのフィルターを選べるようになっている。
撮影:シラクマ
素材は、IFNiオリジナルのリネン100%。節の少ない細番手の糸を使用し、コーヒーの抽出に最適な打ち込みで織られているそうで、コーヒーをおいしく提供したいというプロならではのこだわりを感じられる逸品だ。
ペーパーライクな使い心地
撮影:シラクマ
使用するときにはまず、フィルターに湯通しをしてからタオルなどで水気をサッと拭き取る。ペーパーフィルターと異なるのはここだけで、そのほかは特段変わったことを気にせずに使えるのが魅力だ。
撮影:シラクマ
感覚的な話にはなるが、お湯が落ちる速度はペーパーフィルターとほとんど変わらない印象を受けた。お湯の注ぐスピードで味わいをコントロールできるため、いつも通りに自分のコーヒーを楽しめる。
ただし、ペーパーフィルターに比べると全体的に角の取れた味に仕上がるため、浅煎りのシャープなフレーバーを好む人には向かないかもしれない。
私は中深煎りから深煎りの豆を基本に、たまに気分転換で浅煎りの豆を飲むという楽しみ方をしている。そのため、V60やケメックスなどドリッパーの種類を変えながらも、最近はほぼ毎日のように「CLOTH FILTER」を使っている。
手入れが簡単だから使い続けやすい
撮影:シラクマ
使用後はコーヒー粉を捨て、フィルターを裏返してもみ洗いする。繰り返し使っているうちにコーヒーの油分などが気になってくることもあるが、その場合は薄めた中性洗剤で洗ったのち煮沸することでリセットできる。
撮影:シラクマ
リネン特有の通気性の良さでしっかりと乾いてくれるため、洗い終わったら水気を切って風の通る場所に置いておくだけで良いというのも嬉しい。毎日使うものだからこそ、こういった手入れの気軽さが大切だったりするものだ。
ちなみに「CLOTH FILTER」はフィルターの枚数を重ねることで、ネルドリップのような味に近づけることもできる。使い終わるたびに冷蔵庫や冷凍庫で保管するという手入れの大変さから、一度はネルドリップから離れていたが、これなら無理なく続けられそうだ。
コーヒー屋がこだわって作り上げたリネンフィルターは、環境に良いだけでなく、コーヒーの楽しさも教えてくれる隠れた逸品だった。