醤油ができるまで

醤油造りは、手間と時間がかかります。
発酵食品である醤油は、その製法が、麹菌や酵母など微生物の生命活動によるためです。
私たちニシキ醤油でも、原料を醸造して醤油ができるまで、ゆっくり時間をかけます。
すべての原材料が互いに作用しあい、じっくりと時間をかけて発酵・醸成して、醤油は誕生します。だからこそ、工場生産には真似のできない旨さや風味が生まれるのです。
ここでは、ニシキ醤油の醤油造りの流れをご紹介いたします。

醤油の主な原材料

大豆

醤油造りの主役となるものです。大豆の主成分であるたんぱく質が、麹菌の酵素(プロテアーゼ)により分解され、醤油の旨味成分であるアミノ酸を生み出します。

醤油造りに使われる大豆には、一般的な「丸大豆」と、脂肪分をあらかじめ取り除いた「脱脂加工大豆」があります。丸大豆は水溶性油脂を含んでおり、味がまろやかになります。脱脂加工大豆は、たんぱく質のリッチな旨味が特徴です。

ニシキ醤油では、丸大豆は国産のものを、脱脂加工大豆はインド産のものを使用しています。また、弊社のすべての製品はnon-GMO(遺伝子組み換え体ではない)原料を使用しています。

大豆

小麦

醤油の甘味と香りを生み出すのが小麦です。小麦の主成分は澱粉(でんぷん)。これが麹菌の酵素(アミラーゼ)によってブドウ糖に変わり、独特の甘味、コクとなり、さらに乳酸菌の働きで生まれる乳酸や酢酸が、醤油の味を引き締めます。さらに、ブドウ糖の一部はアルコールに変わり、醤油の香りを高めます。

ニシキ醤油では、国産・外国産両方の小麦を用いています。国産小麦は収穫年度ごとに産地品種を調査しており、輸入小麦は主にカナダやアメリカの高たんぱく種を使用しています。

小麦

食塩

塩は、醤油の塩味のもとになります。また、乳酸菌や酵母をゆるやかに働かせるため大切な役割も持っています。

ニシキ醤油では、瀬戸内海の国内塩を使用。日本の伝統的製塩方法に基づき、最新の設備で高品質に製造したものです。

食塩

水も、醤油造りには欠かせない大切なものです。食塩を溶かした「仕込み水」は、発酵させた麹菌と混ぜ合わせて、諸味(もろみ)となります。

ニシキ醤油の自慢のひとつが、この「水」。当社の所在地名でもある「五百井(いおい)」と同じ水脈から汲み上げた井戸水を仕込み水に使用しており、独自の風味を生み出しています。

醤油の製造工程

1.原料処理

醤油の主原料である、大豆と小麦の加工処理を行います。

洗浄した大豆は、水に浸して必要な水分を与え、加圧蒸気により高圧・短時間で蒸します。

小麦は、焼砂と一緒に煎ります。火加減を見ながら、手作業で火の入れ具合を確認して煎ります。炒った小麦は冷却タンクで粗熱を取り、サイロに入れます。

原料処理

2.製麹

大豆と小麦、麹菌を混ぜて、麹を作る工程です。

盛り込み

前工程で、消化の良い状態に蒸された大豆に、挽き割って乾燥させた小麦をまぶします。そこに麹菌(種麹)を散布しながら混合し、必要な温度と湿度に制御して、麹室と呼ばれる場所に引き込みます。

手入れ

麹菌が繁殖すると、分裂により高温を発しながら、菌糸で締まってきます。ここで、適温化と酵素力強化のため、「手入れ」を行います。手入れとは、麹となる混合物を撹拌してほぐし、空気を送り含ませる作業です。

盛り込み

3.仕込

出来上がった醤油麹を、食塩水と混合して発酵タンクに投入します。これを「出麹」といい、麹の表面が花畑のように黄色くなるので「花入れ」とも呼ばれます。混合する食塩水は、マイナス5℃に冷却したものを用いて冷却殺菌を行います。

塩水と混合して仕込まれた麹が、諸味(もろみ)です。タンクの中で1ヶ月冷却した諸味は、ゆっくりと加温して発酵を促進。この時に、ニシキ酵母菌を添加します。

また、冬でも諸味品温は30℃に保ち、夏の土用越し醤油と同じ環境で育てます。諸味は仕込み中、攪拌して空気を送り込みます。タンクの中で、10mの高さを上下移動させ、均一発酵に近づけます。

仕込

4.圧搾

味や香りが整い、発酵後、熟成した諸味は、木枠で囲まれた布に数リットルづつ入れ、木枠を何枚も重ねて自重で搾ります。自重で搾りきった後は、油圧で押して水分が無くなるまで搾ります。

この時に搾り出された液汁がいわゆる「生醤油」で、「生揚げ」と呼びます。また、汁を搾りきって残った個体が「醤油粕」で、飼料などに使われます。

圧搾した生醤油は、次に余分な油分や固形分を除きます。これを「生おり引き」と言います。

圧搾

5.製成

銘柄に合わせて調整した「生揚げ」を、プレート式殺菌機で瞬間高温加熱して、殺菌と調理(色・香り・味を整える)を同時に行います。これにより醤油の風味を高め、安定させます。

加熱殺菌後、冷却させた醤油をろ過機に通して清澄度を高めます。

製成

6.製品化

火入れ・ろ過を終えた醤油は、銘柄別・容器別に充填され、製品化されます。

ニシキ醤油では自動充填包装設備を導入し、スピード化・効率化を行っています。また、密閉パック(ピロー型パック)はおおむね脱気して充填し酸化を防ぐなど、製品の品質保持にも十分に配慮しています。

製品化

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