香港(CNN) 中国でこのほど、コーヒーチェーン「人民珈琲館」が共産党政府の尊重する言葉を不適切に使用したとして人民日報に批判され、謝罪のうえ名称変更の方針を発表する出来事があった。
人民珈琲館は大半の店舗を中国共産党の美学を想起させる明るい赤で装飾しており、店頭に星をあしらうことも多い。人民日報から「話題作りの経済」に便乗しているとして名指しされ、8日に謝罪した。
共産主義を掲げる多くの国家と同様、中国政府は「人民」という言葉を頻繁に用いるが、その姿勢は真剣だ。
中国の正式国名は「中華人民共和国」。軍の「人民解放軍」や通貨の「人民元」、さらには今回のカフェを批判した「人民日報」など、権威ある制度の多くには人民という言葉が冠されている。
人民日報は6日の論評で、人民という言葉は「公的性格と深い政治的含意を持つ。特定の社会的情緒と公共の利益を体現するものだ」と指摘。この言葉を「冒涜(ぼうとく)してはならず、誤用も許されない」と付け加えた。
「マーケティングは創造的であってよいが、一線を越えてはならない」としている。
国営メディアによると、中国各地に約30店舗を展開するこのチェーンは8日、SNS上で謝罪文を発表。「不快な思いをした全ての消費者に心からおわびする」と述べ、「深い反省」を踏まえ、是正のための「積極策を講じた」と説明した。
人民珈琲館の近年の急拡大は、より規模の大きな瑞幸珈琲(ラッキンコーヒー)などと並び、伝統的に茶が支配的だった中国でコーヒー需要が高まっていることを示す。
市場での競争もますます熾烈(しれつ)になっていて、より低価格の選択肢を提供する地元ブランドが、スターバックスなどの外資系チェーンを圧迫している状況だ。中国では一時、スターバックスがステータスや西洋の影響の象徴だった。
スターバックスは先日、中国に展開する8000店以上の事業の過半数株を地元投資会社に売却すると発表した。


