 ここ数年で大きく変化したバーの世界。味の追究はそのままに、間口が広くフレンドリーな店が増えている。今、目指したいバーの形とは? 世界最高のバーを決める「The World’s 50 Best Bars」に今年ランクインした〈THE BELLWOOD〉ご紹介します。 photo_Masanori Kaneshita text_Kei Sasaki
 ここ数年で大きく変化したバーの世界。味の追究はそのままに、間口が広くフレンドリーな店が増えている。今、目指したいバーの形とは? 世界最高のバーを決める「The World’s 50 Best Bars」に今年ランクインした〈THE BELLWOOD〉ご紹介します。 photo_Masanori Kaneshita text_Kei Sasaki 1. 至高の一杯と向き合えるカウンターがある。

カウンター下の壁は、パープルが基調。日本の古い建具なども用いた和洋折衷のインテリア〈THE WHOLEDESIGN INC.〉の杉山敦彦さんが手掛けた。
2. オープンな雰囲気、入りやすいエントランス。

渋谷駅から少し離れた、個人店が立ち並ぶ路地の一角。気候がいい時期は、入口も開け放って、オープンに。隣に系列店のカクテル中華〈BW CAVE〉もある。
3. 酒と食の可能性を追求している。

特別な食体験ができる一角。
4. 知識と技術、サービスが一流。

オーナーバーテンダーの鈴木さん。「古き良きバーへの敬意、憧れもあるけれど」と話しつつ、フレンドリーなサービスで。
5. 人に教えたくなるシグネチャーカクテル。

ウォッカをベースに自家製コンブチャを合わせた「ファンキーイースト」1,800円。
6. 捻りのあるバーフードでさらにお酒が進む。

スパイシーなチリコンカンが後をひく「火鍋ナチョス」1,100円。
7. 世界で評価されている。

世界のバーランキングにも選出。外国人ゲストも多い。
8. 仲間と会話も楽しめるテーブル席もある。

空間の多彩さも魅力。
9. 王道からクラフトまでスタンダードも美味。

話題のクラフトスピリッツや薬草酒なども揃う。
10. オリジナリティを生む自家製のフレーバー。

カクテルの味を深めるフレーバーウォーターなどを自家製。
11. ストーリー性のあるメニューがある。

メニューブックは花札のイメージ。
12. バーのおいしさを外へも広げる。

本格的なカクテルを自宅で楽しめるオリジナルクラフトハイボール缶も販売。「WAGYU&COLA」(左)など各1,600円。
「ハイクオリティでフレンドリー」が新常識。
お酒は好きだけれど「バーに行くのはちょっとハードルが高い」と感じている人は意外と多いよう。だが、東京のバーは今、どんどんアップデートされている。重たい扉の向こうがどんな空間かわからない、なんだか緊張感がある、メニューがなく値段が心配……。そんな昔の常識を覆す店が、若い世代からも支持を集めているのだ。シーンを象徴する一軒が2020年に開業した渋谷〈THE BELLWOOD〉。その魅力を探りつつ、新しいバーの形を紐解いていこう。
創立者の鈴木敦さんはニューヨーク、ロンドン、カナダなど世界各地で研鑽(けんさん)を積んだ国際派。権威あるカクテルコンペティションでも受賞歴のある世界的バーテンダーだ。日本に帰国後は、〝脱・オーセンティック〞で日本のバー業界に革命を起こした〈SG CLUB〉を運営する〈SG GROUP〉で活躍した後、〈THE BELLWOOD〉を開業。コロナ禍と重なったこともあり、業態は「マイナーチェンジを繰り返した」と話すが、店づくりの指針は一貫している。洋酒と、かつての洋食のようなハイカラな食が楽しめる大正時代の〝カフェー(喫茶)〞のような、文化人の社交場だ。
重厚なカウンターで、一杯の酒に向き合う。バーの嗜好性はそのまま、1階の通りに面した店は、外からも中のにぎわいがわかり、入りやすい。店内には〝小上がり〞をイメージした半個室もあり、フランクな店におけるエクスクルーシブな空間として機能している。2021年からは、完全予約制で創作寿司とカクテルペアリングを提供していて、外国人ゲストにも大人気だ。「海外のトップバーのフードクリエイションは目を見張るものがある」と、鈴木さん。寿司以外のバーフードも、例えば五香粉が香る「火鍋ナチョス」(6)など捻りのきいたものが揃い、カクテルとともに楽しめる。自家製の漬け込み酒やフレーバーウォーター、コンブチャなどの発酵ドリンクを駆使したオリジナルカクテル(5)とともに味わえば、唯一無二の味覚体験だ。
オープンで、居心地はよいのに、研ぎ澄まされた味の創造性があるスタイルは、世界的なバートレンドに通じる。実際〈THE BELLWOOD〉には世界からバーホッパーが訪れ、2025年10月には業界最注目のバーランキング「世界のベストバー50」で48位にランクインした。
価格が記載されたメニューを置く店も増えているが、メニューそのもののストーリーも、バーラヴァーの関心事になっている。〈THE BELLWOOD〉では、カクテルと懐石料理の一品に見立てた先付、焼き物、向付などのカテゴリーで紹介。花札を模したメニューブック(11)も、ページをめくる楽しさがある。
もちろん、スタンダードカクテルも任せて安心。バーの味を自宅でも楽しめるカクテル缶(12)の販売も見逃せない。
ここから、新時代のバーへの一歩を。その先に、より楽しいお酒の世界が広がるはずだ。
information THE BELLWOOD住所:東京都渋谷区宇田川町41-31
TEL:03-6452-5077
営業時間:18:00~翌2:00(フード23:00、ドリンク翌1:30LO) 
定休日:無休
席数:22席(べる寿司4席)
チャージなし、カクテル1,800円~。「べる寿司」は17:00~、19:00~、21:00~の完全予約制で12貫3ドリンク付き19,800円。
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