若手焙煎士の発見・育成を目指す焙煎大会「1ST CRACK COFFEE CHALLENGE」(1CCC、ファーストクラックコーヒーチャレンジ)の決勝大会が9月13日(金)、東京・渋谷の「東京カルチャーカルチャー」で実施される。同大会は 焙煎機メーカーのギーセンジャパン(ネイビーブルー株式会社)が主催するもの。予選への申込者は約100名で、予選は6月から始まり科学的分析による評価で12名に絞られた。さらに、その中から焙煎大会の国内チャンピオンや日本代表トレーナーなどで構成される専門家3名によるカッピング審査(7月26日実施、会場は味の素AGF本社)が慎重に行われ、9月13日の決勝に進む6名が選出された。
「1CCC」は、若手焙煎士の登竜門としてユニークな大会だが、審査方法にも特色がある。そのひとつが予選の審査で科学的な分析手法を用いていることだ。予選参加者に最初に課せられる予選の課題は、サンプルとして主催者から与えられた焙煎豆と同様の焙煎を再現するというもの。
科学的分析による評価で絞られた12名の焙煎した豆これは、単に「自分がおいしいと思うコーヒーを焙煎する」のではなく、「見本となるコーヒーに焙煎で近づける」という部分で、焙煎士としての腕、豆に対する知識などが総合的に問われる。評価は、科学的な数値に基づいて行われており、そのシステムとして2023年からオフィシャルスポンサーである味の素AGFが技術サポートした「ガスクロマトグラフィー」でのアロマ分析が予選判定に同年導入されている。
専門家によるカップ審査を経て12名から決勝に進む6名が選ばれたもともとこの分析技術は、味の素AGFにおいて製品開発などに使われているという。味の素AGF開発研究所の浜名芳輝さん(取材当時)は、次のように語る。「“ガスクロマトグラフィー分析”は、普段は当社製品の開発や検証に活用しています。私たちは味づくりの際に、何かしらの仮説を立てて取り組みますが、その際にいろいろなデータを解析しながら進めることが重要になります。Aという豆をこれだけ使おうとか、Bの豆をこのくらい焙煎しようとか、目指す味わいに向けて日々そのような戦略を立てながら製品開発をしています。アロマ分析のデータがないとお客様の嗜好のデータと見比べられません。仮説を立てるためにアロマ分析は欠かせないのです」。
味の素AGF開発研究所の浜名さん(取材当時)焙煎競技会の「1CCC」が科学的な視点を審査に入れたことについては、「今までコーヒーの競技会の評価は、審査員の主観の部分が大きいと感じていました。もちろん、経験を積んだ審査員の主観も重要なのですが、もう少し客観的な視点でも評価した方がよいのではないかと考え、ギーセンジャパン社に提案したところ、“1CCC”の予選に“ガスクロマトグラフィー”による分析を導入することになりました」と話した。
味の素AGFは、インスタントコーヒーを展開するイメージを持つ人が多いが、レギュラーコーヒーを含めてコーヒーの香りを分析する能力や知見を持っている。今回、AGFの強みであるアロマ分析の技術を活かすことで、スペシャルティコーヒーのカテゴリーでの存在感を高め、ブランドイメージをより高めていくねらい。今後、「1CCC」での経験を製品の開発にも生かしていく考えだ。
【2024 1CCC 決勝ステージ概要】
▽日程=2024年9月13日(金)13:00~21:00
▽会場=東京カルチャーカルチャー(渋谷区渋谷1丁目23-16 cocoti SHIBUYA 4F)
▽料金=2000円(2024競技会観覧チケット [ワンドリンク込み])
▽スケジュール
13:00 開場
14:00 競技スタート
16:00 インスタントコーヒーのレシピコンテスト
18:00 バリスタ&ロースター Party
20:00 結果発表/表彰
21:00 閉会
(決勝競技会のスケジュールは若干の変更可能性あり)
※決勝では焙煎は行われず、制限時間内(20分)にテーマに沿ったプレゼンテーションとウェルカムドリンクの作成が行われる。