映画「おいしいコーヒーの真実」は身近な飲み物で経済をひもとく優秀コンテンツ

2023/01/17 14:02 (JST)

有村昆

【ニュースシネマパラダイス】どうも! 有村昆です。マクドナルドが全体の約8割の品目の値上げを発表し、定番商品のハンバーガーは150円から170円(ともに税込み)になりました。マクドナルド以外にも昨年から食料品などの値上げラッシュが続いていますよね。

一方でユニクロを運営するファーストリテイリングは国内の正社員ら約8400人に対して最大4割の大幅な賃上げを実施すると報じられました。いや~、うらやましい。

消費者にとって物価上昇はキツイものがあるんですが、今回は物の価値から経済を考えたいと思います。ドキュメンタリー映画「おいしいコーヒーの真実」(2006年)を紹介します。公開当時のデータになるんですが、コーヒーの全世界での1日あたりの消費量は約20億杯にもなるそうです。そのコーヒー発祥の地がエチオピア。それだけに多くの国民がコーヒーに関わる仕事に従事しているんですが、コーヒー農家に支払われる賃金は低く、生活が困窮してるんです。

その原因が国際コーヒー協定の破綻による価格の低下と不公平な貿易システム。そこでコーヒー農協連合会代表のタデッセ・メスケラさんが公正な取引を求めて世界中を飛び回ります。コーヒー産業の実態を暴きながら、貧困に苦しむ人々を救おうとするメスケラさんの闘いの物語でもあります。

コーヒーという身近な飲み物を通して経済をひもとくというコンテンツは非常に優秀だと思います。消費者の立場からすると安いのはありがたいけど賃金が上がらないと生活が潤わない。これまで人件費をカットしてでも物価の上昇を抑えてきましたが、結果的に国民の生活は苦しくなってる。物価上昇は致し方ないのかもしれません。

物価とともに賃金も上がればいいのですが、それができるのもファーストリテイリングのようなごく一部の企業でしょう。全体の賃金が上がるように経済の仕組みをもう一度考え直さなければならないと思います。

☆ありむら・こん 1976年7月2日生まれ。マレーシア出身。玉川大学文学部芸術学科卒業。ローカル局のラジオDJからキャリアをスタートさせ、その後映画コメンテーターとしてテレビ番組やイベントに引っ張りだこに。最新作からB級映画まで年間500本の作品を鑑賞。ユーチューブチャンネル「有村昆のシネマラボ」で紹介している。

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