スターバックスコーヒージャパン株式会社の従業員が2023年11月1日（水）付で労働組合を結成したとして、11月29日（水）に記者会見が行われ、そのニュースがさまざまなメディアで報じられました。
このニュースを知り「労働組合って＜結成＞するものなの？」と疑問に感じた人もいるのではないでしょうか。では、労働組合（略して労組・ロウソと読みます）とは、どんな組織なのでしょうか？
労働組合とは？
労働者が主体となって労働条件の維持・改善や、経済的地位の向上を目指す団体が、労働組合です。憲法で保障された労働者の権利であり、複数人が集まれば自由に結成できます。
ニュースとして取りあげられたスタバ従業員のように、労働者が自ら組織して企業と労働条件などについて協議を進めます。
たとえばUberEatsで働く配達員たちが労働環境をよくしようと活動する労働組合「ウーバーイーツユニオン」は、配達員が独立して事業を営む個人事業主であることから労働法が適用されないことなどを改善しようとして結成されました。
日本では、それぞれの企業ごとに組織された企業別労働組合が多く、就職したときに、その会社の労働組合に加入したという人もいるかもしれませんが、必ずしも企業ごとに組織されるというわけではありません。
また、労働組合への加入は任意なので、組合員とならずそのまま働いているという従業員も少なくないでしょう。
2022年12月に厚生労働省が公開した調査結果では、組合数・加入者それぞれが減少を続けているといいます。
厚生労働省｜労働組合
厚生労働省｜労使関係総合調査（労働組合基礎調査）
東海大学でストライキ実行？
東海大学の教員は11月28日（火）、賃金改善を求めて12月6日（水）に「授業のうち15分間を取りやめるストライキ」を行う方針を公表しました。
同組合は、これまで大学に対して団体交渉で改善を要求してきたが、具体的な回答は得られていないことから、やむなく最終手段としてストライキ（省略して「スト」とも呼ばれます）を行うといいます。
また、大学が要求項目を受諾した時点で中止または解除し、授業を再開することもあわせて公表されています。
東海大学教職員組合｜授業ストライキ決行
ストってなんか怖いし迷惑？
東海大学教職員の授業ストライキが実行されるかは、続く大学との交渉結果に委ねられていますが、現代の日本ではあまりストライキが実行されません。
そのため、「なんだか怖いイメージがある」という人も少なくないでしょう。しかし、世界に目を向けてみれば、アメリカで全米映画俳優組合、全米脚本家組合によるストライキがそれぞれ実行されて、大きな影響を及ぼしました。
Netflixの人気シリーズ『ストレンジャーシングス』の製作が遅れているというニュースや、映画『ミッション：インポッシブル』のシリーズ最新作にあわせた俳優トム・クルーズさんの来日がキャンセルされたことなどは記憶に新しいはずです。
（参照）『ミッション：インポッシブル／デッドレコニング PART ONE』来日キャンペーンについて重要なお知らせ－ニュース｜映画『ミッション：インポッシブル／フォールアウト』
日本国憲法第28条では、「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する」と定められています。
この条項に基づいて、労働三権として労働組合などを組織できる「団結権」、雇用する企業などの（労働者）使用者と交渉が行える「団体交渉権」、労働者の要求をしめしたり、成しとげるための圧力行為を一定限度で保障する「団体行動権（争議権）」が認められています。
ストライキは「労働者の要求をしめしたり、成しとげるための圧力行為」にあたりますが、認められた権利であるだけでなく、尊重されるべき行為です。
